ある秋の日のメール
「そろそろ、使い続けるかどうか考える時期かもしれません」
近くの自転車店で状態を見ていただいた際に、今後も乗り続けるためには、しっかり整備をするかどうかを考える時期かもしれない、
というお話があったそうです。
大学生の頃にVIGOREの自転車をご購入いただいて以来、15〜20年近くの年月を
日々の移動や旅の時間をともにしてくださっているオーナー様かある1通のメールが届きました。
長く乗り続ける中で、前輪のブレやペダルのガタつき、塗装の剥がれによる錆などが出てきたとのこと。
新車に近い費用をかけてしっかり整備をするのか。
それとも、必要な処置をしながら、乗れるところまで乗り続けるのか。
そんな悩みの中で、VIGOREにご連絡をくださいました。
自転車以上のものが詰まった一台
メールには、こんな言葉も添えられていました。
初めて乗ったときの感動。
琵琶湖を一周したこと。
ボランティアのために、被災地まで持って行ったこと。
たくさんの時間をともにしてきたからこそ、簡単には手放せない。
できることなら、これからも乗り続けたい。
その一台には、単なる道具としての自転車以上のものが、たくさん詰まっているように感じました。
まずは、今の状態を確認してから、ということで。写真を送っていただくことに。
最終は実写を確認することが必要がありますが、まずは写真から読み取れる範囲で、メンテナンスが必要な箇所、交換が望ましいパーツ、塗装の傷みやサビの状態を確認しました。
その上で、一つの選択肢として、傷や錆も品質に大きな支障がない範囲であれば、年月を重ねた証として残し
ロゴの貼り替えだけにする方法もあることをお伝えしました。
ちょうどその後、東京でのイベントの予定があり、オーナー様は実際にその自転車に乗って、会場までお越しくださいました。
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▲イベント後にオーバーホールに向けて京都本店に到着した1台。
イベントでは、VIGOREのこれまでの歩みや、現在のものづくりについて、展示とともにお話しさせていただきました。そして、実際に自転車を見せていただきながら、オーナー様がこの一台と過ごしてこられた時間についても伺いました。
大学生の頃から、京都、他府県、そして今暮らされている東京まで。
日々の生活の中に、ずっとこの自転車があったそうです。
そのお話を聞くほどに、
この一台には、これからもオーナー様のそばにいてほしいなぁと、改めて私たちも思いました。
これからも乗り続けるためのオーバーホールへ
そんな背景もあり、最終的にオーバーホールをさせていただくことになりました。
せっかくの機会ということで、フレームも再塗装することに。
色の参考として送っていただいたのは、綺麗なお菓子の缶。
その色をもとに、これまでの時間を受け継ぎながら、新しい表情へと塗り替えました。
使えるパーツはできる限りそのままに。
一方で、耐用年数を迎えているものや、劣化が進んでいるものは交換し、これからも安心して乗っていただけるよう整えていきました。
オーバーホール前の少し細かいところを見てみると…

▲ロゴ部分(ちなみに再塗装なしでも、ロゴの貼り替えのみも可能です。劣化の際はもちろん、雰囲気を変えたいというオーナー様もいらっしゃいます)

▲クランク周り

▲ハンドルまわり ハンドル本体やステムはまだまだ使えますが、ボルトに錆が回った状態です。
初めて乗ったときの感動を、もう一度
そうして完成した1台。

▲再塗装で新しくなったフレームに、コンポーネントはCUES。使用できるパーツ(シートポスト、サドル、キャリア、ハンドル、ステム、その他小物類)はそのまま残し、消耗品や耐用年数切れのものは交換しました。

▲ロゴまわり

▲キャリアなど、使用できるものはそのままに再度取り付けしました。年季が入った風合いで、いい雰囲気が出ています。
完成後、オーナー様から嬉しいご連絡をいただきました。
『先日、無事に組み立てることができました。
ペダルを漕ぐと、すべての力が前に進むことだけに伝わっているようで、初めて乗った時の感動を思い出しました。』とのこと。
そして、こんな言葉も添えてくださいました。
『生きているうちに、またオーバーホールする時期が来るのかなと思います。
その際は、よろしくお願いいたします。』
一台の自転車が、15年という時間を越えて、もう一度「これから」へ向かっていく。
その瞬間に関わらせていただけたことを、とても嬉しく思います。
これからも、人生に寄り添い続ける一台に
自転車は、日々の移動の道具です。
けれど、長く乗り続ける中で、ただの道具ではなくなっていくことがある、と私たちは思っています。
通った道。
出会った景色。
その時々の気持ち。
人生の節目。
そうした時間が少しずつ重なり、一台の自転車に、その人だけの記憶が刻まれていく。
これまで人生をともにしてきたこの自転車が、これからもオーナー様のそばで、また新しい時間を刻んでいきますように。
今回の整備内容について
今回のオーバーホールでは、「新しい一台を選ぶ」という選択肢もある中で、これまでの時間を重ねてきた一台を、これからも乗り続けるための整備としてご依頼いただきました。
コンポーネント、ホイール、タイヤやブレーキシューなどの消耗品の交換、フレームの剥離・再塗装※、組み立てまで含めて整えさせていただきました。費用は車体の状態や交換内容によって変わりますが、今回の内容では約18万円ほどとなりました。
※保管状態により、シートピラーがフレームに固着してしまったものなどは再塗装をお受けできない場合がございますので、ご了承ください。
お持ちのビゴーレを、これからも乗り続けたい、ご家族やご友人に譲るための整備をしたいという方は、お気軽にご相談ください。






