「山と旅。」の自転車。

まだ名は、決まっていないこの自転車がより形になってきました。
この自転車は、これまでのマウンテンバイクでもなく、ロードバイクでもない、
どちらかというとマウンテンバイクとロードバイクのあいのこ。
どこでも走れて、気持ちよく長距離も走れる自転車。
ビゴーレで今一度「サイクリング」という言葉を見直してみようということではじまった新しい自転車づくり。

 

この新しい自転車の性能を確かめるべく無塗装のフレームでテストすべくパーツを組み付けて試走です。
新フレームの設計は、クロモリ製マウンテンバイクのベーシック・エフアールよりもホイールベース(タイヤとタイヤの間隔)を短くすることで、どっかりサドルに体重を乗せるのポジションではなく、かといってロードバイクほどスピードを重視して身体を丸め込みペダリングへエネルギーを集中させるポジションでもなく、上半身と下半身に程よく体重をかけられるような姿勢がとれるように計画しました。ペダリングもしっかりできるけど操作性も損なわないことを目標に設計された一台はさていかがなものでしょうか。

 

まずは舗装路 。身体の重心がマウンテンバイクよりも前寄りになったので、脚の自由度が高まってロードに近いペダリングができるようになった事を確かめられました。

 

 

また未舗装地では、マウンテンバイクほどの操作性は無いものの、もともとのそのMTBの血筋を受け継いだ事で荒れ地や段差も思っている以上にクリアできました。

 

 

そして。
短時間での検証だけでなくこの新しい自転車の性能をさらに確認すべく、今回ビゴーレの昔からのオーナーで現在も自転車でのツーリングをされているTさんに長距離のテスト走行をお願いしました。そのためにトラブルの無いようより完成度を高めた試作車を貸与しました。

今回の行程は約45km、4時間ほどかけて京都周辺の峠でじっくりと新しい自転車の試験走行。
まずは、京都市内からサイクリングやトレイルランの場所として活況な京見峠へ。最初に峠に向かう前の平坦な道での感じは、「すぅっと前に進む」だったそうです。この新しい自転車はマウンテンバイクの延長線上にある(ホイールが26inchなので)と思っておられたので、予想外の感触だったようです。それはどちらかというと「太いタイヤをはいたロード」とのこと。

 

上りが始まってからも「すうっと楽に上がった」。終始この自転車での走行が「楽」だったのが印象的だったようです。

 

 

京見峠の石碑前にて。普段はフラットハンドルのマウンテンバイクだったのが、「緩急のある峠の上りはやはり、ポジションの多く取れるドロップハンドルの方が楽」。

 

 

この辺はしばらく急な坂がつづく。今回の完成車のパーツの組付はロードバイク寄りであったためちょっと上りがしんどかったようで、これはマウンテンバイク寄りの組付にすればきっと良くなるはずとのこと。(こんな「急坂と言われるところは限られている」ようですが。)

 

 

細い山道(シングルトラック)へ。これぐらいの道なら「ドロップハンドルで余裕でコントロールできる」状態だったようです。

 

 

さらに、林道を下る。「スリックタイヤだったので、さすがに落ち葉や苔は怖かったが、多少の土砂があるような道は、元々はMTBをベースに開発された自転車であるので、余裕の走行である」。今回は舗装路/未舗装路混同でのテストだったのでブロックパタンの無いスリックタイヤを選択されての出発だったのですが、テストのためにと果敢に攻めてもらったようです。そのおかげでこの自転車の持っているポテンシャルを肌身で感じていただけました。

 

こうしてさらに様々な道を走り、テスト終了。途中で幸いにも?雨にも降られて、濡れた路面での確認までしていただけました。

 

総じて、この自転車についてのコメントは以下の通り。

「舗装路や上りでロードの様に「すうっと前に進む」軽さ、「長い距離を楽に走れる」ランドナーの様な居住性、そしてBasicFRから引き継がれた「MTBとしての基本性能」。これらの車種の得意とするところの特徴を上手くバランスさせて高い次元でまとめられている。これ1台あれば、普段は通勤通学の足として、週末は郊外への峠や里山のサイクリング、長期の休暇には荷物を積んで自転車旅にと使い回す事ができるだろう。サイクリングのプランニングにおいても「ランドナーでは荷が重過ぎる」が「MTBほどの機材を要求されない」そんなコースの場合、この新型であれば1台で対応できる。1日のサイクリング全ての場面で活躍させることが出来るので、上級者の方々にとってはコースプランニングの幅が広がると思う。」

私たちが考えていた以上に乗りやすかったようで大満足のお褒めの言葉。
 後は長期旅用の積載についての検討が必要ですねとのさらに活用するための課題まで指摘頂き、私たちにとても有用かつ今回の新しい自転車への自信につながる報告を頂きました。

肩肘張ることなく、素直に自転車に乗って旅を毎日をたのしみたい。
ただ、そのためにも質の良い道具をつくりたい、という思いがちゃんと形にできた事を自分たちでも確かめられて本当に良かったです。

いよいよ、
「山と旅。」の自転車、完成に近づいてきました。

 

あら、
京都の店先に、この新しい自転車がここにも。 
わたしたちもたのしみです。