今年の初夏、「事故をしてしまったので、同じ仕様でもう一台製作をお願いできますか?」というご連絡がありました。

メールの文面を見て、ふと既視感が…。
あれ、この方、数年前にも事故でフレームを再製作させていただいたような…。記憶をたどると、やはり以前と同じオーナー様。
今回も、フレームに致命的な破損があり、「OWNERS CAREを利用して新たな一台をご提供させていただくことになりました。

 

お話を伺っていると、海外のツーリングなどにも度々行かれているとのこと。私たちも興味があり、詳しく聞かせていただきました。せっかくですので、今回のVIGORE WORLDでは、オーナー様と自転車の軌跡を少しだけご紹介させていただきます。

 

※OWNERS CAREとは、京都本店での永年無料点検や、ご購入から1年を過ぎた後も、事故以外の自損や経年劣化などに対して、通常価格の40%オフ(塗装代別)でフレームをご提供させていただく購入サポートプログラムです。

 

幼少期に体験した旅の原点

オーナー様と自転車との出会いは、まだ幼い頃。

ご家族と共に奈良から京都まで1泊2日で走った記憶もあるそう。自転車旅の原体験だったのかな、と思います。

 

高校卒業後には、ご友人と”卒業自転車旅”へ。京都から兵庫、小豆島、広島、愛媛、香川…瀬戸内海をめぐるルート。美しい景色と観光、そして仲間との絆。ここで自転車旅の魅力にのめり込んでいったそうです。

 

19歳の挑戦、オーストラリア横断へ

大学生、19歳で挑んだのは、オーストラリア大陸横断。

当初は短距離の予定だったこの旅は、計画を進めていくうちに「横断の方がかっこいい!」と一気にスケールアップ。 

気温30度を下回ることはほとんどない2月の夏のオーストラリア。全長6000km、52日間、テント泊中心。これまでの自転車旅とは全く違う。そんな思いと共に入念な準備と共に旅がスタートしたそうです。

 

難所ナラボー平原1000kmの走行と暴風雨

パースから地平線が続き乾燥地帯である、難所のナラボー平原までの1000kmは既に過酷。日中は命の危険を感じるほどの暑さで、明け方と夕方〜日没にかけて少しずつ走行。ようやくナラボー平原についたと思えば、分厚い雲が空を覆っていたそうです。

ナラボー平原は、普段、降水量も食料供給地も極端に少ない乾燥地帯。
そこに予想外の暴風雨が襲い、親切な地元の人からもらったレインコートは千切れ、気温は下がり、濡れた衣服が風に吹かれる中での走行だったそう。それでも二人は諦めることなく、走り続け、平原を突破しました。

 

トラブルの連続と冒険の時間

ナラボー平原を越えた先の街、ポートオーガスタで束の間の休息。

次の街に向けて出発したところ、自転車の変速機を固定しているブラケットが破損。友人とは別行動で300kmヒッチハイクをすることになったそう。

友人とも合流して、無事修理できたかと思うと、次は盗難が。1週間探しても見つからずクロスバイクを現地で購入して旅を再開したそうです。

その後も、長い砂利の坂道で2人は衝突、勢いで2人は車道に投げ出される事件も。親切な方が救急隊を呼んでくださり、大事には至らず再びペダルを踏み出しました。

 

その後、ついにシドニーのオペラハウスでついにゴールを。

総距離5,270km。2人同時にオペラハウスにタッチ。

旅の途中で出会ったシドニー在住のサイクリストと再開始、旅の思い出を語り合ったそうです。

まさに最初から最後まで、トラブルや厳しい環境でのライド。

しかし、かけがえのない冒険の時間だったそう。

『多くの現地の方やサイクリストとの思い出、カンガルーの群れとの並走、見渡す限りの地平線、黄金のような夕焼け、見たこともないような眩い星空。力強いオーストラリアの雄大な大地を全身で感じることができる旅でした。』とのこと。

 

7年経過した今でも色あせることのない思い出だそう。

 

自分に合う1台を探してビゴーレへ

帰国後、オーナー様は自らの旅のスタイルに合った自分の乗り方に合った1台を探し始めます。

普段はもちろん、オーストラリアのような冒険もできる自転車を。
そんな中、地元・京都で出会ったのが私たちビゴーレでした。

カタログに掲載していた「山と旅の自転車」。
そのコピー「あなたの旅は、もっと広がる」という言葉に心を動かされ、ご来店頂いたことが最初のご縁です。

 

山と旅の自転車と共に走った旅も伺っているとまた鮮やかです。

 

奄美諸島縦断(2023年4月~5月)

奄美大島、徳之島、沖永良部島、与論島をテント・カヤック・キャンプ道具とともに巡る。
夜は砂浜でテントを張って眠る——島の時間をゆっくりと味わう旅。

 

九十九里浜縦断(2023年5月)

千葉・九十九里浜の砂浜を2日かけて縦断。
道中では新鮮な海鮮料理も満喫されたそうです。

 

イタリア周遊(2024年4月)

ローマ、トスカーナ、フィレンツェを巡る11日間。
絵画のような街並み、のどかな丘陵風景、感性を刺激する旅の時間。

 

 

そのほかも色々と出かけられているそうです。

 

自転車を乗り続けること

今回、事故でフレームが(2度も)損傷してしまったにもかかわらず、再びビゴーレの製作を望んでくださったオーナー様。なぜ、自転車に乗り続けるのか?について少し伺いました。

 

「自転車は、誰が乗り、どこでどんな時間を過ごしたか、その歴史が積み重なることで、深みが増していくもの」

「旅は、自分自身を映す鏡。年齢や経験によって、同じ場所でも感じ方が変わる。その変化に気づけるのもまた、旅の魅力」

そこに自分自身だけではなく自転車を加えることでさらに行動範囲が広がるほか、キャンプ・釣り・海外旅行など他の趣味との互換性も高いので、より多くの五感を刺激することができます。

「​​多角的に自分自身を映すことで、より解像度高く自分を知れるアイテムだと思っているため私は自転車に乗り続けています。

 

そう話してくださいました。

旅のなかで出会う自然、景色、そして自分。そこに自転車があることで、五感がひらき、人生に奥行きが生まれていく。

それがオーナー様にとって、自転車に乗り続ける理由なのだと思います。

 

そして、次なる旅へ

現在もケガからの回復を待ちながら、次なる旅の準備をされています。

行き先はアイスランド。再び、未知の大地に向かってペダルを漕ぐ日が、もうすぐそこにあります。

 

今回は少し仕様を変えて。長期の旅でもメンテナンス性のより良いワイヤー仕様で、コンポーネントは105へグレードアップ。ディスクブレーキは、より引きの軽いGROWTAC EQUALのブレーキにした仕様です。

▲新しい1台

 

▲GROWTAC EQUAL

 

▲105(11速/ ワイヤー仕様)

 

最後に

“旅”は人によって様々。週末のちょっとした時間の”旅”もありますし、今回のように時間をしっかりとって普段とは違う場所での”旅”も。

 

『旅は、自分自身を映す鏡。』

 

頂いた言葉が印象的でした。

私たちが届ける「山と旅の自転車」が誰かの人生に寄り添えていること、嬉しく思います。

 

たくさんの物語をお伝えくださりありがとうございました。

そして、これからの旅路も、いい時間になりますように。

(もちろん、怪我や事故のないようにお過ごしくださいね)