ビゴーレが自転車と関わって80年以上となってきましたが、地元京都では昔のビゴーレを未だ愛着をもって乗って頂いているオーナーが多くおられ、自分が乗らなくなってもお子さんへご友人へ乗り継いでもらったりして、いろんなビゴーレが京都の街を走り抜けています。ゆえに今は販売していないモデルやカラーパタンを街中で見かけて、同じものが欲しいとの問い合わせが少なからずあり、既に販売終了いるものについてはお渡しする事が出来ないのですが、カラーについては昔のものをイメージして「今の自転車」をつくるという試みをいくつか行ってます。その一つが、1970〜80年代に流行して当時ビゴーレでもリクエストの多かったツートーン(2tone)を一品ものとして組んでみたものがこちらです。

今回一品ものとして提供しているのは、ピンクと赤のツートーン仕様。カラーの切り替え部は、ラインを入れてアクセントとしてます。全体としても当時のイメージを意識して統一感が出るように基本的なパーツ類はシルバーパーツとし、サドルはセラ・アナトミカの限定色の桃色を合わせてます。

しかし、このサドルの選定はただ色を合わすだけでなくその性能を見込んでのセレクトなのです。実はこの自転車、見た目以上に乗り心地を重視し、その事をいかに高められるかを意識してつくりました。

 

イメージしたのは小柄でアクティブな女性。私たちのお店にもよく自分のサイズに合うバイクを探して来られますが、大きな方、小さな方は往々にしてあまり身体に合わないけれど選択肢が無いので無理矢理自転車に合わせて乗るということになってしまっているようです。ビゴーレでは、ビルダー片岡自身が小柄という事もあり、立ち上げ当初から「自分が乗りやすい」自転車として小型なものを作ってきています。(もちろん、大きい方のサイズも昔からあります。。)

ただ、それぞれのサイズちがいの設計については標準のものを縮小/拡大するだけでなく、ロードバイクとしての操作感や剛性感を損なう事無く同じサイズのホイール(700c)を組合せても問題無いよう一台ずつ専用設計としてます。(これは、ビゴーレのすべてのモデルのフレームサイズで実践されていることです。これは、これまで一人一人の為に作ってきたフルオーダーの中で積み上げられてきた経験の賜物です。)故にどのサイズも同じように「走ること」を純粋に堪能できるのです。(詳細は、フレームのページを参照ください。)

 

閑話休題。この自転車は小柄な方が「楽しく」走りやすいようにする為に、必要以上の前傾姿勢をとらなくても乗れるようにハンドルのポジションを他のものに比べて身体に近く、上気味にセッティングしてます。

さらに、ドロップハンドルの上の部分を持ってもブレーキがかけられるように補助ブレーキを取付

コンポは、走ることを十分に楽しめるシマノの105(そのままレースも出れます。)クランクの長さは、もちろんショートのものを取付けています。

 

サドルは、長時間のライディングでもお尻が痛くなりづらいということを考えてセラ・アナトミカのサドルを選定。(このサドルはビゴーレでは男女問わず、レース用サドルの堅さが苦手な方に好評です。少々上等ですが、アメリカの職人が一つ一つ丁寧に作ってくれていて、乗っているうちにお尻によく馴染んできます。制作工程についてはこちらから→“Made in Wisconsin from Selle An-Atomica”。)

 

いろいろ挙げましたが、ただただ見た目だけではなく、ビゴーレの自転車としての走る楽しみをしっかり積み上げることがまずありきで出来上がっています。

 

その上で、見た目も抜かりません。塗装は、ビゴーレのペインター(以前はレースカー(車)の塗装をされていました)により丁寧に塗り分けてもらっているので仕上がりは抜群。(画面ではなかなかお伝えしづらいですが近くで見るとその差は歴然です。)

折角だしタイヤのバルブキャップも京都の義手/義肢職人さんの手作り品(もちろん、京都製)をフレームカラーに合わせてつけてみました。このキャップ、ネジ式にはなっておらず、ただとフレンチバルブに差すだけのタイプですが、肌の微妙な変化の再現を求められる義手/義指を作られているだけあって、形のバランスの良いコグ(自転車の後ろのギア)の型をしています。

 

 

走りと見た目それぞれに細かいところまで意識して作った一台。京都本店では人気も高く、試乗の要望が多かったため、試乗用ホイールの取付の際の塗装はがれがありますが、整備しなおして一品ものとして提供することとなりました。今回は試乗車の整備済品として一番リーズナブルに提供するようにしています。(もちろん、ビゴーレオーナーとしてのサポートは新車と同様ですのでご安心を。)

小柄な方限定とはなりますが、ポップな姿とは裏腹な走行性能、価格以上の乗り心地を存分に堪能出来る一台です。ある意味もっともビゴーレ的な一台かもしれません。

小柄な女子と書いてしまってますが、女子に限らず男子でももちろん構いませんよ。