「旅」と聞かれて、みなさまはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
何か特別な準備をして、特別な場所に行き、その特別な時間を過ごすということでしょうか。

 

ビゴーレで考える「旅」は、ちょっと違います。
日々の通勤や移動、移動中の寄り道、そして思いついた時の週末のサイクリング、大荷物を積んでの自転車旅行まで、全ての時間が特別な旅になればと思っています。

 

そんな「旅」がテーマになった「山と旅の自転車」シリーズの開発の原点をお話しさせていただきます。


山と旅の自転車シリーズは2013年から開発が始まりました。
目まぐるしく、全てのスピードが加速していくこの時代。ビゴーレはそんな今だからこそ次の時代は、どんな時間も愉しみの時間に変換できる自転車があればと考えました。

 

その時、ビルダー片岡の頭に浮かんだのが、ただ愉しむだけに自転車に乗っていた、少年時代のこと。

 

日本で郊外へ出る道が舗装されていない頃、サイクリングといえば、ランドナー(標準装着ホイール:650×35-42B)という日帰りから数日間の自転車旅向けの自転車が使われていました。そして徐々に道が舗装され、次に出てきたのがスポルティーフ(標準装着ホイール:700×28-32C)という車種、スポルティーフはフロントバッグやサドルバッグを装備して主に舗装路の”サイクリング”を楽しむものでした。

↑VIGOREランドナー(キャンピング仕様)

 

↑VIGOREスポルティーフ

 

 

↑この時は、”京都ホイルマンクラブ”(大人のサイクリング倶楽部)と一緒に大悲山へ「サイクルキャンプイング」(1968)。自転車一杯キャンプ道具を積み込んで大自然へ(先導は二代目片岡)

 

片岡自身も1960年代〜1970年代にかけては、ランドナーやスポルティーフで京都の北山を走り回っていました。
どちらも、サイクリング車であって、レースのための自転車ではありません。その日1日や旅行を楽しむための自転車です。

 

当時少年だった片岡は、釣り竿を積んで、自転車で山道を駆け抜け、釣りをしてまたサイクリングを楽しみながら帰る。気が向けばちょっと寄り道をして冒険をして帰りました。出発から帰宅まで、全てが愉しみに溢れた、特別な時間だったのです。そこには日常と非日常のはっきりとした境界はありません。

 

競うことでもなく、速さを追求するのでもなく、ただ純粋な愉しみの経験となる”サイクリング”。
今、この時代のフィールドで、サイクリングの原点である純粋な愉しみの経験ができるものを作りたい。

 

これまでの経験や開発した自転車を活かした、山と旅の自転車シリーズの誕生物語の始まりです。

 

毎日の移動、週末のサイクリング、ちょっと遠出のツーリング、そして思い立てばアジア大陸だって横断出来てしまう、旅のための自転車。

 


ヨーロッパで始まった700cホイール(ロードホイール)でヨーロッパの広大な砂利道などの未舗装路(グラベル)を早く走る為に開発された「グラベルロードバイク」とよく似ている「山と旅の自転車」シリーズですが、このように、ちょっと成り立ちが違うのです。日本人が日本のフィールドで最大限に楽しめる自転車を目指しました。

 

いわば、ランドナーやスポルティーフといった”このサイクリング車の現代解釈”。

次回より、開発に向けたストーリーをご紹介させていただきます!