ついに製品化された初代「山と旅の自転車」。「山と旅の自転車」は、半年と少しで限定60台の販売が終了しました。しかし、進化は続きます。実は、製品化が完了して1ヶ月半後には、片岡の頭の中では既に「山と旅の自転車」の進化に向けた開発が始まっていました。

↑新しい進化に向けて、試作をしている様子

 

山旅車の開発が始まった頃は、グラベルロードやオールロードという車種が確立していなかった時代。「山と旅の自転車」は1960年代に片岡自身が楽しんだあの経験を、今の時代のフィールドで経験するため、マウンテンバイクとロードバイクのいいとこ取りをして完成しました。

 

今回、片岡はよりロードバイクのような乗り味を求めていました。

 

思いついたら即形にするビゴーレの自転車づくり。その乗り味を求めて、まず、これまでのロードの10速のコンポーネントから、11速のコンポーネント(同様にSTIの使用を前提)対応に向けた変速機系ワイヤーの取り回しの見直しを行いました。(初代「山と旅の自転車」の受注時でも、コンポーネントの要望があった方にはフレームをカスタムして販売していました。)

 

そのほかには、ロードの乗り心地に寄せるため、フレームの剛性の見直しを行いました。初代「山と旅の自転車」は山道の走行を想定した、MTBのフレームをベースにしていました。今回の開発では、1日のサイクリングの中では舗装路を走る時間が長いことを想定し、舗装路の乗り味を引き出す強度と剛性へ変更しました。

 

その他には、ディスクブレーキの装着を視野に入れていましたが、今回求めていたサイクリングの乗り味に適したディスクブレーキの規格がなかったため、カンチブレーキを採用しました。

↑新パーツと新しいスペックのフレーム(プロトタイプ製作時)

 

その他にも考え付いたスペックの試作・テスト走行を続けました。合計8台分の試作を行い、最終のプロトタイプで完成形となりました。

 

進化した「山と旅の自転車」。

 

・・・「新・山と旅の自転車」と名前がつきました。

 

さて、この「新・山と旅の自転車」は、最終のプロトタイプをGood Design賞へ応募することになります。

 

Good Design賞は2009年の「UTB-0」以来の応募です。(UTB-0 2009年Good Design賞 中小企業長官賞の記事についてはコチラ)「新・山と旅の自転車」を出品することを決めた理由は、より多くの人に、ビゴーレの提案する時間の使い方について伝えるためです。そして世の中の方々にどのように受け取ってもらえるのか、それを試すためでした。

 

片岡自身、テクノロジー重視・性能重視の製品開発の時代に疑問を感じ、「体験」や「五感」、そして「豊かな時間の過ごし方」に対しての”ものづくり”を重視し続けて開発したこの1台の考えに対する問いかけということでした。

↑Good Design Award用フレーム(フィレット加工の特別仕様)

 

2015年 Good Design Award を受賞。Good Design MARUNOUCHI オープニングイベント 『GOOD DESIGN Marunouchi オープニング企画 近未来のてざわり 関連企画 デザイントーク「ビゴーレ・カタオカのものづくり 京都の小さな自転車メーカーの考える未来」』に参加しました。ビゴーレのこれまでの歴史から、今回の新・山と旅の自転車につながる私たちの想いをお話しさせていただきました。(詳しくは、コチラよりご覧ください。)

↑2015年 Good Design Award (受賞)モデル

 

そうして、ついにお客様に向けて手渡せるように製品化をし、「新・山と旅の自転車」が本格的にお披露目されました。

 

「新・山と旅の自転車」は、ロードコンポーネント仕様でよりロードの走行感が増しました。よりロードに寄せたジオメトリーへの改良、パイプの肉厚の見直し(剛性面)、ワイヤーの取り回しの変更、チェーンステイのクリアランスについての再設計等、ロードコンポーネントに対応できるようになりました。

 

↑「新・山と旅の自転車」

 

↑ビゴーレ京都本店に並ぶ様子

 

しかし、深化と進化はまだまだ続きます。

「山と旅の自転車プラス」に向けての物語は第4話でご紹介させていただきます。